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租税教室について
租税教室とは
税理士法第1条に税理士の使命は「税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって、納税者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。」とあります。
その一環として、北陸税理士会では、関係機関等と連携しながら、租税の意義や税理士の役割を正しく広く国民に理解してもらうことを目的として小学校の児童、中学校及び高等学校の生徒はもちろん、大学生や社会人に対し租税教育事業を実施しております。
租税教室体験記
水橋中学校の租税教室の講師を務めて(富山支部 舘佳秀)
久しぶりの母校で味わう緊張感(七尾支部 杉本喜和)
共感と感動の租税教室(福井支部 山本準一)
こどもたちと一緒に学んだ租税教室(松任支部 新家利津子)
税金について少し興味が持てました(敦賀支部 山形晃士郎)
宝くじには税金がかからない?(魚津支部 若島文一)
税を意識するきっかけに(武生支部 横住佳子)
生徒の真剣な眼差しと鋭い質問にたじろぐ(高岡支部 坂野上満)
税金は必要不可欠なもの(小松支部 千田純一)
生徒の専門的な知識に驚く(富山支部 奥田恭介)
水橋中学校の租税教室の講師を務めて
富山支部  舘 佳秀

11月6日、金曜日晴れ、10時30分から11時20分までの50分間、水橋中学校校舎の視聴覚室にて3年生、84名が私の話を眠らないで最後まで聞いてくれた。最初、教壇に立つと、私自身緊張して足が震え、息があがってしまった。大きな声であいさつをして、黒板にパソコンで作成したA4版の名前を張り自己紹介をして、やっと落ち着いて喋れるようになった。

パワーポイントテキストを使い、生徒に質問したり、クイズ形式で答えてもらったりして楽しくお話ができたと思う。最後に、生徒さんからの質問に私なりの回答をして90分の授業はあっという間に終わってしまった。84名の生徒の1人でもいいから税理士を目指す生徒が出れば良いと思った。

参考のために、水橋中学校の3年生からの質問を列挙しておく。講師の先生方、参考にしていただければ幸いです。

○ 税理士の仕事を教えてください。そして税理士の仕事をしていて楽しいことは何ですか?
○ 今、5%の消費税が上がるとしたら、次に何%になりますか?
○ 税の中で一番大事な税は何だと思われますか?
○ 僕ら中学生も払っている(負担している)税は、消費税の他にありますか?
○ 減税するということも聴きますが、なぜ、財源が不足しているのに減税が出てくるのですか?
○ 民主党がマニフェストで、税金の無駄をなくすといっていましたが、なぜ「税金の無駄遣い」があるのですか?
○ 授業で国の財源の約50%ちょっとしか税の歳入がなくて、国債をたくさん発行して歳入を補っていると学習しましたが、なぜ、たくさんの
国債という借金をしてきたのですか?あまりにも政治家の人たちは無責任だと思うのですが?
○ 私たちも税を納める立場になりますが、税を払わないとどんな処罰があるのですか?
久しぶりの母校で味わう緊張感
七尾支部  杉本 喜和

新型インフルエンザの感染者が身近にいてもニュースにならないこの頃、11月8日に羽咋高校で税理士会としては初の租税教室が開かれた。前後にクラス閉鎖が相次ぐなか、かろうじて予定通り一年生全クラスが揃った。「生徒には、全員マスク着用と伝えてあります。ちょっと異様ですが・・・」と担当教諭。「先生もされますか」とマスクを勧められるも、さすがにこれは辞退。

授業時間のやりくりも大変ななか許される持ちタイムは45分間。子供世代の後輩たちは、みな行儀よく真面目そうに見える。私としては最多の5クラス200名の生徒を前に、「つかみ」のつもりの冗談2発。空振りに終わる。嗚呼、前途多難。短い時間ながらせめて大事なことは伝えたい、と取り急ぎ本題へ。

ところがパワーポイントシフトとはいえ、始まった途端に照明は落とされ、暗幕の引かれた室内は想定よりかなり暗い。進行手順や書き込んだメモも読めない有様。下見のときに、確認すべきだった・・・。動揺を反映するように、こういうときに限ってパソコン画面がうまく切り替わらない。

幸い予定原稿作りのときに時間をかけているから、内容や大体の数字は記憶に残っている。なにより、税理士会作成の画面がスクリーンに映っているじゃないかと思うと、平静を取り戻すことが出来た。

学校側からは、進路としての税理士業界や職業選択の話を織り交ぜてほしいという事前要請があった。確かに業界情報や大学の話をすると、反応が格段によくなるのが判った。相手先によっては、課税の根拠や租税の機能にある程度しぼって、広く就職や進学の話を取り入れる方がベターかもしれない。学校イベントのなかに定着し、少しでも生徒の「記憶に残る租税教室」になれれば、すばらしいことだと思う。
共感と感動の租税教室
福井支部  山本 準一

11月21日13時30分からアオッサにおいて福井県雇用支援協会の依頼により職業生活設計セミナ-「知って得する確定申告」のテ-マで租税教室が開催された。対象者は今年定年になり既に離職している者、及び近々定年を迎える者で約80名の参加があった。

講義内容は給与や年金及び生命保険等の受給に関するもの、配偶者控除・扶養控除等所得控除に関するもの等所得税の基本となる簡単な内容であったが、今までサラリ-マンであった人達にとってはかなり新鮮なことに感じた様子で終始真剣にメモを取りながらの教室となった。中には、所得税の配偶者控除や扶養控除の定義と健康保険の被扶養者の定義の区別がつかず今日初めて知ったとの言葉があり過年度分の納め過ぎの税金はどのような手続きをとればよいのかなどの質問があった。

1時間20分の短い時間であったが、我が国の年末調整の仕組みがサラリ-マンを税の仕組みや知識から遠ざけ、色々な間違った知識を社会に蔓延させていることを改めて感じた。

受講者は、戦後生まれで昭和40年代以降の激動の日本を支えてきた団塊の世代の人達で、何か一つの時代が終わりを告げるような感じがした。受講者の方々が第二の人生をどのように生きていかれるのか、夢を持ち目的を持って生き甲斐のある人生を送るためにこの租税教室が少しでも役に立ちこれからの生活に生かされればと思い、「私も皆さんと同じ団塊の世代です。これからも力を合わせお互い頑張りましょう」の言葉に大きな拍手をもらい終了した。
こどもたちと一緒に学んだ租税教室
松任支部  新家 利津子

初めての租税教室は、中学校を担当することが決まり、担当の先生と打合せをした際に、「中学3年生は社会の授業で租税について勉強しているので、今回の租税教室では授業では教わらないことを話してほしい」と頼まれ、困った。

私は中学3年生のころ、税について教わった記憶がなく(おそらく真面目に先生の話を聞いていなかったのでしょう)、中学3年生は税についてどのくらいの知識があるのか全くわからなかったからで、慌てて中学生の社会の教科書を借りて読んでみると、私が想像していた以上に、中学3年生は現在の日本の財政や税について教わっていた。

当日は、税の必要性や日本の厳しい借金財政など教科書と重なるところもあると思ったが、ひと通り説明することにした。体育館で約180人に教えるということだったが、生徒たちの反応がよくわかり、緊張した。

授業後にアンケート用紙を配ったところ、「税金がなくなったら大変だということがわかった。将来、大人になったらしっかり税金を納めようと思った」というような感想が多く安心した。また、税理士会作成のパワーポイントを編集して使ったところ「効果音が面白かった」という意見もあり、中学生って意外なところに興味をもって聞いてくれるものなのだと知った。

私自身、このような機会がなければ、なぜ税金を納めなければならないかなど、真剣に考えることがなかったような気がする。今回の租税教室により、一緒に学ばせていただいたことに心より感謝したい。
税金について少し興味が持てました
敦賀支部  山形 晃士郎

1月13日、大雪ではあったが除雪がされていた為、無事学校に到着した。市による除雪作業のお陰だと、税金のありがたみを噛締めながら租税教室に臨んだ。訪れた敦賀工業高校は、昨年に続き2度目。昨年は極度に上がり、レジュメを棒読みするだけで精一杯という散々な結果だった。今年は、生徒達との距離を縮めようと、税金に関するクイズを10個程用意してみた。

自己紹介。昨年同様、かなり緊張しているように感じた。冒頭はテキストどおり、税の仕組みについて説明。続いて、税金の種類について、「直接税とは、税を納める人と実質的に負担する人が同じもの、間接税とは、税を納める人と実質的に負担する人が異なるものです」一拍おいて、「じゃあ、ここでみんなに一つ質問、この中で消費税を『納めた』ことのある人、手をあげて!」・・・。なかなか反応が無く、失敗したと思っていると、前の方の男子が一人二人、それに釣られるかのようにほぼ全員が手をあげてくれた。それに対して、「実は違うんだな、消費税を実際に納めているのはお店の人で、みんなは、商品に上乗せして消費税を負担しているだけなんだよ」と説明すると、元気の良い男子が「卑怯や、自分からあげさせたくせに」とクレーム、場の空気が和んだ。その後は税金クイズと説明を繰り返した。生徒との距離が縮まるにつれ、難しい内容にも反応が良くなったように感じた。最後に、代表の生徒が「税金について少し興味が持てました。しっかり納税してちゃんとした大人になりたいと思います」と言われたときには、少し涙が出た。
宝くじには税金がかからない?
魚津支部  若島 文一

1月14日魚津市立道下小学校において6年生2クラスを対象に租税教室を行った。約30年ぶりの体験であるが、小学生を担当するのは初めてで、できるだけわかりやすい言葉でゆっくりと話すように心掛けたつもりであるが、いつの間にか専門用語を使ったことに気づき言葉の意味を説明することも数回生じてしまった。

教材は、国税庁ホームページに掲載の租税教育入門編(小学校高学年向け)及び魚津税務署から借りたアニメビデオを使用した。最近のテレビはクイズ番組が人気のようで、今回も○×方式で答えてもらうことで興味を持って聞いてもらえたのかな?と思った。

ビデオも終了し最後に出したクイズでは、お年玉には税金がかからないことや、宝くじには特別に税金がかからないことなどを知っている児童がおり大変驚かされた。さらに最後の最後に質問がある人はいますかの問いかけには、次のような質問があり自分の小学生時代とは雲泥の差があると感じた。
○今話題となっているJALに関して税金面での国等の役割は何か?
○消費税の税率が10%になった場合のメリットとデメリットは何か?
突然の大雪警報発令中の中での久し振りの租税教室であったが、これらの質問からこの子達の将来に大きな希望を感じ、吹雪の中での除雪でかじかんだ顔を思わずほころばせて小学校を後にした。
税を意識するきっかけに
武生支部  横住 佳子

4年連続の租税教室。若い世代に何を伝えたいのか?テーマを見つけられないまま、与えられた資料や国税庁、財務省のホームページを引っ掻き回し、パワーポイントやクイズを作って、なんとか授業を行ってきた。

今回は小学生が対象なので、五年生の娘を相手に授業の予行をやってみた。一生懸命しゃべる私の前で彼女はうとうと・・・。どうして寝るのと聞いたら、「言葉が難しすぎて、何を言っている全然わかんない・・・」とキツーいお言葉。仕事上で当たり前のように使っている言葉も、彼女にとってはまるで外国語のよう。

考えてみれば私自体が租税の何を知っていると言うのか?租税教室をしなければ、税金の種類も義務教育にかかる費用も振り返ってみることはなかった。日本の財政赤字・・・大変なことである。それも、仕事と子育てに追われて、聞き流している自分に気付かされた。

税理士だから租税教室をする。しかし一般の人より詳しいのは、法人税法、所得税法など業務で行っていることだけ。日々、目前の作業をこなすことで精いっぱいの私に、税理士としてもっと幅広い知識を身に付けて成長して行けと、激励されているような気分になった。

何度経験しても当日の授業のことは緊張のあまり思い出すことが出来ない。生徒のためにしているつもりが、自分のためにしかなっていない。せめて、租税を意識するきっかけになってほしいと願うばかりだ。
生徒の真剣な眼差しと鋭い質問にたじろぐ
高岡支部  坂野上 満

11月30日、射水市立奈古中学校の3年生(60名)を対象に租税教室を行った。昼一番の授業時間をこの租税教室に割いて頂いたのであるが、何でもこの日の午前まで期末テストだったということで、テストからの解放感からか、いささかリラックス的な雰囲気で生徒達に迎えられた。

私はこれまで毎年のように租税教室の講師を務めさせて頂いているが、実は中学校は初めてで勝手がよく分からないというのが実情であった。小学生や職業科の高校生は3学期の卒業前に租税教室の時間が設けられるのであるが、中学校は高校入試が後に控えているため3学期という訳にはいかない。自然、2学期の期末試験が終わる頃となる。今まで年内に租税教室を行ったことはなかったが、これも普段の租税教室とは勝手が違うと思わせるところであった。

中学3年生というと社会科の公民分野で日本国政府や憲法などについて学ぶ。少し難しい単語を並べても教科書で習うような用語に置き換えて説明してあげれば理解ができると思われる。とはいえ、あんまり教科書的なことばかり並べて眠くなってもらっても困るので、プロジェクターを中心に進めていくものの、ホワイトボードを併用して金額の多寡などについて感覚的にピンとくるような工夫をしてみた。やはり中学生ともなるとお金を自分の判断で使ったり節約したりすることは各自やっているだろうから、出てくる数字で何がいくつくらい買うことができるのかを想像してもらいながら進めることとした。

例えば、中学生一人当たり月8万円の国庫負担があるという箇所があるが、「8万円で何が買える?君たちの乗っている自転車や参考書、ソフトなどがいくつ買えるだろう?」と言うと皆周りの生徒達とガヤガヤ相談し始める。このように何とか生徒達を自分のペースに持ち込むことができた。しかし、感覚的にピンとこないのが国家予算の「兆」という単位である。1兆円はゼロが12個も並ぶ、半ば天文学的な数字であるが、100万円の札束がおよそ厚さ1センチと想定して1兆を100万で割り100万センチメートル、さらに100で割り1万メートル、さらに1000で割り10キロメートル・・・厚さにして10キロメートル(奈古中学校から富山駅の辺りまで?)もあるのが1兆円です!!と言うととにかくとてつもなく大きな数字だということは分かってもらえたようであった。

こういう進め方をしたからか、最後に質問がいくつかあったのであるが、全て「金額」に関するものであった。「射水市長はいくらくらい給料をもらっているのですか?」「今、庄川に架けている建設中の橋は造るのにいくらくらいかかるのですか?」「国の歳出のうち公務員の給料は全部でいくらくらいですか?」などなど、とても即答できないような質問ばかりで面喰ってしまったが、これも生徒達が真剣に私の講義を聴いてくれて興味を持ってくれたということの証左。おおよその金額を答えておいたが、やはり子供の真剣な眼差しにはたじたじになるということがいみじくも分かった。

これから15の春に挑戦する子供たちにとって、暗記や演習を必要としない今日の私の講義はどのようなものであったであろうか。20年くらい後にこの中から我々の業界の門扉を叩く者が現れてくれることを期待しつつ今年最後の租税教室を後にした。
税金は必要不可欠なもの
小松支部  千田 純一

12月7日に芦城小学校で租税教室の講師を務めてきた。

芦城小学校は母校ではないが、自宅から近いので外からよく見ることがあった。中に入ってみるとすごくお洒落で温かみがある造りになっていて大学キャンパスのような感じで驚いた。

今回は6年生全クラスが対象で90名程の生徒が参加。初めに大きな声で挨拶をして授業を進めようと思ったが、学校側で用意してくれたPCが起動しないというトラブルに見舞われ、出鼻をくじかれた感じだった。5分程時間をロスしてしまったが、別のPCを持ってきていただき事なきを得、仕切り直して授業を進めた。

所得税や消費税などテレビなどで良く耳にするもののほかに固定資産税や酒税などあまり聞き慣れないと思われる税金を知っている子がおり、自分が小学生の頃は1つも税金の名前を知らなかったことを思うと賢いなと感心させられた。みんなが積極的に授業に参加してくれたお陰で楽しく授業を進めることができ、あっという間に1コマが終わった。

今回の授業を通して、税金はみんなが毎日快適に過ごしていく為には必要不可欠なものであり、またその税金はみんなの親が働いて得た給料から納めているということを理解し、親に対して感謝の気持ちを持ってもらえればすごく嬉しいと思った。
生徒の専門的な知識に驚く
富山支部  奥田 恭介

12月15日に県立富山商業高校において、租税教室の講師を担当させていただきました。ちょうど2011年税制改正大綱の概要がテレビ等で報道され、税に対する関心が高まるタイミングでもあり、生徒の皆さんも熱心に聞いてくれるかな、と期待して臨みました。

事前に高校の担当先生と打合を行った際、授業でも租税を取り上げておられるということで、授業で使用されたテキストのコピーをいただきました。みるとなかなか専門的で、垂直的公平、水平的公平、直間比率やクロヨン、トーゴーサン等の補足率、現在の財政の諸問題が取り上げられているなど、そのレベルの高さにちょっとびっくりでした。

基本的に講義用のテキストに沿って説明をしていくつもりで、事前にリハーサルをしたみたところ言葉が浮かんできません。日頃関与先さんに対する説明と勝手がまったく違い、自分の言葉で話ができないのです。アドリブではお話にならないので、古い租税法の本をひっぱりだしてきて、改めて自分から勉強し直しでした。

当日は50分の×3クラスの授業をさせていただきました。時おりうつむく生徒さんもいましたが、熱心にこちらを向いて聴いてくれている生徒さんの眼差しに逆に励まされながら、時間ギリギリいっぱい使って説明をしました。ちょっとしゃべりに余裕がなかったかなという反省もあるのですが、いつかきっと税の理解に役立ってくれるだろうと自分に言い聞かせ、校門を後にしました。