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NPO法人編
  • 子供の安全を守るNPOを設立してみたものの、資金が足りなくて思うように活動できません。
    先日、知人から「認定NPOになったら?」といわれましたが、何のことなんでしょうか?
  • 正確には「認定特定非営利活動法人」といいますが、通常は「認定NPOと略されますね。その「認定NPO」のことを説明する前に、まず寄付金控除のことを説明しましょうか。
    例えば個人の場合ですが、国や地方公共団体へ寄付をすれば、個人の所得計算だと、その寄付額か「所得金額の合計額の30%」のどちらか少ない方から10,000円を差し引いた残りの金額を所得から差し引けるんですよ。
    これを「寄付金控除」といいますが、確定申告の際には、寄付金の領収証と相手先がこの制度対象だという証明書の写しが必要になります。ちなみに政治献金の場合だと、選挙管理委員会の確認印がある「寄付金(税額)控除を受けるための書類」を添付することが要件となっています。
  • なるほど、「寄付金控除」ですか・・・それで「認定NPO」は?
  • 「認定NPO」への寄付金もこの寄付金控除の対象になるのですよ。
    だから、もしあなたのNPOが「認定NPO」になれれば、そちら向けの寄付は所得控除の対象となるわけですね。
    つまり、寄付する側にとってもそれなりの税金のメリットになるということですし、そのあたりを強調すれば、より寄付をしてもらいやすくなるのでは、と一般にいわれているのです。なお、ここでは所得控除を例に説明しましたが、法人、例えば地元企業などから寄付を請う場合も、払った会社側に一定額ですが経費(損金)にできるというメリットを強調することができます。
  • ははあ・・・「認定NPO」になれば資金が集まりやすいんですね。で、どうすればいいんですか?
  • いやいや、そんな安易に「資金が集まりやすい」なんて考えるのはどうかと思いますよ。まあ、それはともかく、「認定NPO」になるためのことを説明しましょうか。
    「認定NPO」になるためには国税庁長官から認定してもらう必要があります。
    もちろんそのためにはクリアしなければならないハードル、つまり認定要件があるんですが、その主な点は以下の通りです(なお、下の1.2.4.の各割合の算定は直前2事業年度の平均によります)。
    ややこしいですけど、うんざりしないでくださいね。
  1. パブリックサポートテストによる割合が5分の以上であること
  2. NPO会員等向けの事業活動の制限(事業活動全体の50%未満であること)
  3. NPO役員又は社員に占める親族などの割合が1/3以下であること及び経理の透明性の確保
  4. 宗教・政治活動及び特定の者への便宜供与はせず、寄付の70%以上を特定非営利活動の事業費に充て、
    同時にそれが事業費全体の80%以上であること
  5. NPOの構成員や活動・実績についての情報が適時開示閲覧できる状態にあること
  6. 不法行為や違反行為のないNPOであること
  7. NPO設立以降1年が経過していること
  8. 認定申請に際し行政処分や定款違反がないことについて所轄官庁より証明書の交付があること
  • うーん、なんだか煩わしそうですね・・・どれもいまひとつわからないんですが。
  • そりゃあ、かなり技術的な話になっていますから、面食らうのも無理はないと思います。
    ただ「認定NPO」は寄付をする側、される側ともに税的な優遇を受ける制度ですから、複雑になるのはやむえないんじゃないでしょうか。とにかくもう少しガマンして聞いてください。
    では続けますが、上に挙げた要件の中でも①のパブリックサポートテストというのは耳慣れない言葉ですが、「認定NPO」の本質が含まれているのでそのことを説明してみましょう。
    とりあえず式で簡単に示すとこういうことになります。

    (受入寄付金総額-所定の寄付額)
    ÷(総収入金額-所定の収入金額)

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    この式のことをパブリックサポートテストというのです。
    これは、NPOが世間一般からの幅広い寄付で成り立っている・・・いわば公益的な性格を数値で示すためのものです。
    ただ、この割合ですが、そのNPOの総収入金額に対する寄付金の割合が2年平均で5分の1以上である、と同時に各年で10分の1以上であることも求められます。 ちなみに、この5分の1という割合ですが、本来は3分の1以上とされていたところを平成20年3月31日までの認定申請に限った特例として5分の1以上とされているのです。
  • 実際どんな風に計算するんですか?
  • 具体的な計算ということになると、これがまた複雑なんですけど、説明しましょうか。
    まず分母にあたる総収入金額から、
  • 国・地方公共団体又はわが国が加盟する国際機関からの補助金
  • 国等からの委託対価収入等、資産売却等による臨時収入
  • 一者で1,000円以下の寄付
  • 寄付者の身分等を明らかにできないもの
  • 遺贈による寄付金及び相続を起因とする贈与等により受け入れた寄付金のうち「一者当たり基準限度超過額」に相当する分
のそれぞれを差し引きます。
なお、この「一者当たり基準限度超過額」のことですが、同じ人からの寄付総額がそのNPO全体として受け入れた寄付総額の5%を超えているのであれば、その越えた金額をいいます。
ただし、その寄付が特定公益増進法人や他の「認定NPO」からの場合だと、その限度額は受入寄付金総額の5%ではなく50%を超える額に引き上げられます。
したがって、その場合は分子に占める寄付額が増えることになりますよね。
同じように、分子にあたる受入寄付金総額からも、
  • 「一者当たり基準限度超過額」
  • 一者で1,000円以下の寄付
  • 寄付者の身分等を明らかにできないものを引きます。
ちなみに、この割合の判定に際してですが、寄付者の中にある人がいて、その人の配偶者や三親等以内の親族(これを「親族関係を有する者」といいます。)もいる場合は、この「親族関係を有する者」もその人と同じとみなして「一者当たり基準限度超過額」が算定されるのです。
また、仮にNPOの役員や社員自身が寄付をしているのであれば、同一者とされるのは配偶者、三親等内親族にとどまりません。その寄付者と事実上婚姻に近い関係にある人や寄付者の使用人、あるいは何らかの形で寄付者から生計の援助を受けている者まで含まれ、しかもこれら特殊な関係者と生計を一にする配偶者や三親等以内の親族まで範囲が広げられることになります。
ところが、自NPOの役員又は社員ではない一般の人からの寄付金については、その配偶者及び三親等内親族までをまとめて同一者とみなす必要はなく、寄付をした各人ごとに受入寄付金総額の5%超部分の「一者当たり基準限度超過額」の計算を適用できますから、分子への算入額が増えることになりますね。
それから受入寄付金総額を総収入金額で除する際には、分母の「総収入金額」から「国、地方公共団体又はわが国が加盟する国際機関からの補助金」を差し引く方法とは別に、それらを分母から差し引かず、同時に分子にもその「受入寄付金総額」までを限度として補助金の額を算入できる方法も選択できます。
それと、自NPO社員からの会費収入についても、合理的かつ画一的なベンチマーク・・・つまり基準のことなんですが、それによって社員の共益活動部分を会費収入から除外できるような場合は、残りの部分を分子に算入することができるようになります。ただし、これも分子の「受入寄付金総額」までを限度とします。
  • ・・・パブリックサポートテストってかなり大変なんですね。
  • 原則はそうです。ただ、平成18年度の税制改正で上記のパブリックサポートテストによらない方法も導入されています。所定の要件を満たした小規模なNPO向けの簡易方式だと思ってください。
その内容ですが、2年平均の総収入金額が800万円未満の小規模なNPOであれば、その期間を通じて
  1. NPO役員、社員以外の50者以上から
  2. 一者につき3,000円以上の
  3. 寄付者を明らかにできる寄付金がある場合は
  4. 次の計算式をパブリックサポートテストに代えることができるというものです。
(受入寄付金総額-一者あたり基準限度超過額)+国等の補助金+社員会費
(総収入金額-国等の委託事業収入等)

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これは平成18年4月1日から平成20年3月31日までの認定申請に係るものであり、さきほどチラリとふれた各事業年度における寄付割合が10分の1である必要もありません。
あなたが所属しているNPOの規模はわからないのですが、念のためこのことも知っておいてください。
  • 申請さえすれば認定されると思っていましたけど、そんなに甘くないみたいですね。
  • 確かに専門的なことばかりですから、税理士の知恵は借りるべきだと思います。ただ、「認定NPO」の実務は特殊な面がありますから、一旦、お近くの税理士会に相談されて、「認定NPO」について豊富な知識や経験を持つ税理士を紹介してもらった方が得策だと思います。いずれにしろNPO活動の基本には、潜在的に公益活動が期待されているところがあるようですし、「認定NPO」であればそれはなおさらだと思います。あなたのNPOが認定をうけて、より公益に資する活動を行えることを期待します
個人開業編
  • 脱サラして事業をはじめようと思っていますが、どんな手続きをすればいいんでしょう?
  • 個人で始めようと思っているなら、まず「個人事業の開廃業等届出書」を税務署に提出する必要があります。
    また、あなたが従業員を雇うのでしたら、同時に「 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出 書」を提出する必要があります。
    いずれにしろ、これらの届出書は開業してから1ヶ月以内の提出となります。
  • 従業員とはいっても妻だけなんですけど?
  • 残念ながら、原則的には家族に支払う給与を必要経費とすることはできません。 ただ、あなたが「所得税の青色申告承認申請書」を出して、なおかつ「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出していれば、奥さんに支払う給与を必要経費とすることができます。 この「所得税の青色申告承認申請書」と「青色事業専従者給与に関する届出書」は、それぞれ適用しようと思った 年の3月15日までが提出期限なのですが、あなたは新たに事業を開始するわけですから、その事業を始めた日から2ヶ月以内に提出すればいいわけです。 ちなみに、従業員が奥さんだけということでしたら従業員は10人未満ですから、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 兼 納期の特例適用者に係る納期限の特例に関する届出書」を提出したほうがいいでしょう。
  • その「・・・納期の特例の・・・」ナントカっていう長ったらしい書類は何ですか?
  • 「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 兼 納期の特例適用者に係る納期限の特例に関する届出書」のことですね。
    A1で説明したように、あなたは個人事業者と同時に給与の支払者、つまり源泉徴収義務者になるわけです。
    源泉徴収義務者は、従業員等に給与などを支払う時に所定の税額を給与から天引きして、それを翌月10日までに銀行経由で税務署に納付する義務があります。
    しかし、従業員が少ない事業者(この場合10人未満)にとっては、こうした毎月の事務は負担なので、これを半年に1回(前期分が7月10日、後期分が1月10日の納期限)とする手続きが「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」です。
    また、後段の「兼 納期の特例適用者に係る納期限の特例に関する届出書」というのは、1月10日の納付期限を1月20日まで延長するためのもので、年末調整事務の繁忙期に配慮したものです。
    ※A1~3の申請書や届出書は国税庁のHPからPDFファイルで印刷することができます。
  • ところでさっきからよく出てくる「青色申告」って何なんです?
  • 原則的には、複式簿記を使って仕訳帳と総勘定元帳が作られていることと、これら帳簿等の保存を条件にいくつかの特典を利用することができる制度です。
    主な特典としては以下のものが挙げられるでしょう。
  1. 所得から青色申告特別控除として65万円(複式簿記が難しい場合でも簡易な帳簿であれば10万円)が差し引けます。
  2. 家族への給与を経費にできます(いわゆる青色事業専従者給与)。
  3. 減価償却費の計算では、特別償却などが使えます。
  4. 貸倒引当金や退職給与引当金等が計上できます。
  5. 純損失が生じれば3年間繰越すことができたり、それを前年分に繰り戻して所得税の還付を受けることもできます。
  • 帳簿は苦手なので青色申告に自信がありません。もし青色申告じゃなかったらどうなりますか?
  • その場合は、白色申告者という扱いになります。
    この場合、貸倒引当金と特殊な損失(事業用資産の災害や変動所得のことですが・・・
    詳しくはお近くの税理士に)の3年繰越以外は、A4に挙げたような特典は受けられません。
    ただ、白色申告にも事業専従者控除がありますが、配偶者86万円・それ以外50万円という定額と
    事業専従者控除前の事業所得等÷(事業専従者+1)で計算した金額のうち少ない方が経費ということになります。
    なお、白色申告でも所得が300万円を超えれば青色並みに記帳義務が生じますし、そうでなくても「収支内訳書」の添付とともに取引の記録を残す必要はあります。正しい記帳は、青色申告の特典のみならず堅実な経営につながるものですから、お近くの税理士にご相談してみてはいかがでしょうか。